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クラウドERP導入の5つのメリットとリスクとは?
2018.10.12 > クラウドERP
こんにちは。
クラウドERPに特化した導入コンサルティングサービスを提供しているブルータイガーコンサルティングの趙 凡です。
クラウドERPという言葉が国内で使われはじめたのはいつの頃だと思いますか? 2012年頃、わたしがちょうどとクラウドERPベンダーのNetSuiteのマーケティングディレクターと会話を始めた頃と記憶しています。その会話の中では、当時の有名IT向けメディア編集長との会話の中で、SaaS型ERP、オンデマンド型ERPなど様々な言葉で表現していたものを、よりシンプルにわかりやすく、クラウド型ERPにしていこうと統一していったのがきっかけのようです。各国でもSaaS typeとかCloud Baseとか色々割れていましたが、最近ではCloud ERPとして言われることが多いようです。当時のGoogle広告のクラウドERPのクリック単価は100円程度だったようですが、現在は数千円まで高騰しているようです。
目次
1. そもそもクラウドERP
2. クラウドERPメリット
3. クラウドERPのリスク
4. まとめ
クラウドERPは、従来オンプレミスソフトウェアとして提供されていたERP(統合期間業務システム)パッケージの機能をクラウド環境で使えるようにしたアプリケーションの総称です。
従来型のERPをオンプレミス環境で導入する場合に比べ、コストや導入期間など多くの点で評価されており、競争が激化する現代社会において柔軟な展開が可能であるため多くの企業で採用が進んでいる。と言われています。
1990年代に全盛であったオンプレミスERPの登場は、コスト削減や現場の生産性向上、あるいは全体最適化、データ標準化といった期待を一心。その一方で、必ずしもそれらの期待に応えることができていない現状があるのも事実だ。また、維持・メンテナンスコストの増大や柔軟性の欠如などに加えて、ビジネスのグローバル化や持たざる経営を実践するクラウド容認企業の台頭がオンプレミスERP離れを物語っているといえよう。
引用:クラウド実践ポータル クラウドERPとは https://www.clouderp.jp/
メリットその1:初期投資の節約
従来型のERPについては、長きにわたり多くのお客様のビジネスを支え続けてきたメリットはいうまでもないでしょう。ただし従来型のERPシステムの導入は常に長期化するとともに、日本の顧客では特にギャップを埋めるための追加開発が膨大なコストを生む結果となりました。顧客が自社で従来型ERPを採用する場合、サーバー本体とライセンスと追加開発だけで初期投資が数億円を超えることも少なくありませんでした。それに対しCloud ERPはサーバーのハードソフト、ミドルウェア、ネットワークなどが全て含まれており、ライセンスが使用した成長に合わせて柔軟に初期導入の規模を制限できるため、初期投資を大きく抑えられるのです。
メリットその2:短期導入が可能に
CloudERP NetSuiteの導入期間は平均で約3ヶ月程度にと言われています。1998年に設立したNetSuite社は時代の流れに乗り、手作り基幹システムと従来型ERPを徹底的に分析してきました。業務流れと無関係な開発と設定を極力を減らすことができるのが大きな特徴であり、業種業態のベストプラックティスをある程度標準実装しているため、フィットギャップを極力抑えることで、導入費用を大幅に削減を可能にします。
メリットその3:保守負担削減
サーバー、ネットワーク、ソフトウェア、バージョンアップといった運用は、CloudERP NetSuite社より一元管理されるので、ハードディスク取り換えやメモリ追加など、ハードウェアのメンテナンスは一切不要です。また、ERPソフトウェアのバージョンアップ、パッチインストール、データバックアップの保守はCloud ERP ベンダー自身が行ってくれるのです。今までのような膨大なERP管理費用を最小限に抑え、節約した費用を顧客獲得など攻めの経営、顧客中心のためのインフラを実現してくれるでしょう。
メリットその4 Cloud ERP拡張性
ERPの拡張は、一般的にカスタマイズ又は追加開発と言われます。基本機能でカバーしていない能力を自社で開発するのを指しています。なぜ標準のERPに加えて機能拡張が必要でしょうか?スマホに例えれば、新しく買ったiPhoneはそのまま利用できますが、ユーザは通常アプリを追加しiPhoneをより便利にさせます。ERPの基本機能で各部署の業務を概ね対応しています。さらに追加機能を入れることで、ERPで必要な業務に必要なモジュールを追加することで、さらなる作業効率の向上が期待できます。
従来型のERP導入では、多くの日本企業がERP導入において、膨大なコストを投下して様々な拡張機能を追加してきました。日本の商慣習とは合わない海外製ERPは特に導入時間を多く咲いて莫大な人員と複雑なプロセス、伝票等の開発を余儀なくしてきました。また、数多くのERPパッケージはカスタマイズを前提とした作りになっており、原型をとどめないカスタマイズによって業務の効率化を前提とした導入を行ってきた歴史があります。
その一方で、海外の成長企業はクラウドERPを特にほぼカスタマイズなしで導入する傾向が多く現れてきました。カスタマイズにも種類があることを覚えていただきたいと思います。NetSuiteのような世界でもっとも導入されているクラウドERPは、様々なカスタマイズが可能になります。例えば、画面の設計をお化粧直しするレベルから、外部システムとの連携、さらには拡張アプリケーションの同一プラット上の開発です。
このように開発の深さによってシステムの拡張を自由に設計することはクラウドERP導入にもっとも欠かせないポイントと言えるでしょう。
メリットその6 バージョンロックしない機能拡張
世界的に地域と業種ごとに大きな変化が起こりつつ、企業は迅速に対応する必要があります。ビジネス形態がまだ変わっていないのにバージョンアップする度に拡張機能を見直す余裕がなくなります。
従来型のERP本体がバージョンアップする際に、 “バージョンロック” が起きます。ERPのバージョンアップは、アップグレードの過程でシステム基盤が劇的に変化するので、大幅に拡張したERPは追加機能で壊れるリスクが高まるのです。
バージョンロックの原因で、従来型ERPのバージョンアップ自体かなり大きな選択になります。それでもバージョンアップの決断をした場合は、膨大な拡張機能を再度作り直すことになるため、長期的な開発期間や莫大な再開発投資が発生します。
クラウドERPの場合、年に2度のバージョンアップで最新のソフトウェアを使うことができます。NetSuiteの場合、年に2度のバージョンアップでも顧客の追加機能が壊れる心配もありません。
従来型ERPの拡張機能はデータベース(*1)に依存しています。新しいバージョンでデータベースが往々に変わるため、追加開発機能が利用できくなることが多いです。一方でクラウドERPで世界No1のシェアを誇るNetSuiteは二層構造で構築され、拡張がロジック層(*2)に基いています。NetSuiteがいくらバージョンアップしても、ロジック層は変わらないと約束されています。
(*1 データベースは、エクセルのスプレッドシードみたいなデータを保存する場所です。)
(*2 建築に例えるとロジック層は地下の防振層です。)
クラウドERPのメリットは多くあります。その一方で、クラウドERPを選択する上で、必ず欠かせないのはセキュリティーや、事業の継続性を担保できるかいなか重大な選択となるでしょう。
クラウドERPを導入しない大きな理由として、セキュリティを上げる声も未だ少なくありません。それではどのような点でセキュリティのリスクが発生するのでしょうか?
一つ目は悪意のある第3者によるサーバーやシステムへのハッキングです。2つ目にネットの情報通信で企業情報がネット上第三者に漏洩されるリスク、最後にエンドユーザにおけるPCの機密情報漏洩のリスクです。
そのようなリスクにおいて、大手クラウドERP NetSuiteの場合どのような対策をしているのでしょうか。
1)Oracle NetSuiteは米国情報安全対策認定「EU৪国間セーフハーバー協定」を取得し、あらゆる手段でハッカーの侵入を防止しています:パスワード濫用を防ぐ措置、データベースの暗号化、外部の侵入を常に監視し対策を施すなどで万全なサーバー安全措置を施しています。
2)HTTPSによるネット経路安全保障
NetSuiteすべての通信データはHTTPS 128Bit暗号化基準に従い暗号化されているので、大切な企業情報をネット通信で転送する場合に、悪意的な盗聴に遭遇しても暗号化で企業情報を守ります。第三者のPCより悪意的なパスワード試行攻撃も防げます:IPアドレスやパソコンが変わると内緒の質問や米国監視チームによる身分確認が行われます。
3)パソコン端末の安全対策
ほとんどの企業様で実施されていますが、お客様自身のPCにヴィルス対策ソフトが入れられています。エンドポイントのセキュリティの運用を徹底すればパソコンから情報を盗まれることを未然に防ぐことができるでしょう。
NetSuiteのSLA(サービス・レベル・アグリーメント)
NetSuiteのサーバーが米国と欧州に設置されています。顧客の日常業務(商品出荷や経理締め処理)を支援するために、NetSuite社が宣言しています:お客様のサービスについて99.5%の稼働時間を提供することを保証しています。(ただし通常の定期的なメンテナンスの時間を除きます。)
このようなクラウドERPベンダーであれば、導入のメリットの多くを享受できると思います。
したがって、セキュリティーといった観点や事業の継続性という観点では、ベンダーがどのような規模でビジネスを行なっているのか、どのような対策を講じているかなど正当な基準で評価することは必須であると思います。
企業経営戦略において、経営ゴールを達成するためにERPは様々な役割を果たすものになります。
それはクラウドERPも全く同じです。導入メリットが高いからといって企業の成長や生産性向上が保証されるものでもなんでもありません。しっかりと経営ゴールや成長戦略にあったサービスを選択されることをお勧めしたいと思います。
次回は、クラウドERPにおける導入の失敗事例について取り上げてみたいと思います。
それではまた!