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【工場の見える化】実施の手順とポイントを紹介!
2022.04.22 > クラウドERP
製造現場において、ある業務が属人化していたり、業務プロセスが共有されていなかったりすると、作業効率や生産性の低下につながりかねません。これらの課題を解決するには、「工場の見える化」を実施することが鍵となります。
この記事では、「工場の見える化」によって属人化を解消する手順と、導入によるメリット・デメリットについて紹介します。
そもそも「見える化」とは、これまで見えていなかった作業や物事を常に見える状態にすることを指します。
「工場の見える化」では、各生産工程や進捗状況がひと目でわかるようにします。
工場における見える化の取り組みとしては、以下のとおりです。
・業務プロセスごとに作業効率を見える化
・設備機器の稼働状況を見える化
・生産ラインの稼働状況を見える化
工場の見える化をすることで、業務の無駄をなくせる上、トラブルを未然に防ぐことができ、生産性の向上につながります。
ここでは工場の見える化で得られる具体的な効果を3つ紹介します。
1つ目は、経験やノウハウを明文化することにより、作業員のミスを最小限に抑えることができることです。
たとえば、手作業や目視といったプロセスを共有できずにいると、熟練工に集中していた業務をほかの作業員が行った場合、ミスを犯すおそれがあります。
熟練工の勘やコツに頼る属人化を脱却し、業務の標準化を図ることで、ミスを最小化できるだけでなく、品質の担保や人材育成にもつながります。
2つ目は、生産設備の故障や異常を速やかに把握できる状況をつくり、品質や稼働の安定化に寄与することです。
たとえば、生産設備の稼働状況を目視による監視で行っていると、異常を確認するまでに時間がかかったり、誤って見落としてしまったりするリスクがあります。
そこで、生産設備の稼働状況をデータ化し、異常が発生した際に通知されるようにすれば、トラブルを抑制することができます。
トラブルに対して迅速に対処できれば、生産の品質を維持することにもつながり、安定した稼働を継続できるようになるでしょう。
3つ目は、標準化したプロセスを公開し教育していくことにより、新人やベテランを問わず、すべての作業員が一定のスキルを発揮できるようになることです。
製造業における人手不足が年々深刻化するなか、作業員のマルチタスク化は作業や業務の属人化解消にもつながります。
工場の生産設備の見える化や、人の作業の見える化だけにとどまらず、企業経営にも大きな効果を及ぼします。
工場の見える化の実現が企業に大きな価値をもたらす一方で、実現にはいくつかの課題を乗り越えなければなりません。
ここでは工場の見える化で発生する2つの課題について見ていきましょう。
古い設備からデータを取得するには、新たなツールや設備の買い替えが必要となり、時間や費用がかかります。見える化の進まない企業や工場の課題としてよく挙げられます。
ネットワークの構築やIoT機器の導入といった大幅な工事や改修が必要になるほか、場合によっては設備自体をデジタル対応の最新設備に入れ替える必要もあるでしょう。
工場の見える化では、データを数値化して、異常が把握しやすいよう、KPIを設定する必要があります。しかし、部門ごとにKPIの計算方法が異なっていると、整合性が取りにくいケースがあります。
たとえば、ロスコスト(不良発生時)において、部門Aでは材料費のみの単純計算に対し、部門Bでは材料費と加工費を合わせて計算しているなどです。
組織全体で共通の算出方法をすり合わせていないと、どの数値が正しいのかが判断できません。各部門の意見をまとめ、共通認識をもたせるための作業に手間や時間がかかることが懸念されます。
工場の見える化を行う手順には4つのステップがあります。
以下の手順を参考に、ぜひ「見える化」を実施してみましょう。
まずは見える化の目的を明確にする必要があります。目的を決めることで、どの作業工程を見える化するのか、具体的に洗い出すべきデータの種類が見えてきます。
また、実施するにあたっては、現状の問題点や見える化によってどう変わってほしいのか、作業員にヒアリングを行い、情報収集していきます。
目的が明らかになったら、工場における5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)に従い、見える化に必要な現場の環境を整備していきます。
必要なものと不要なものを分け、不要なものを捨てる「整理」や、必要なものがすぐに取り出せるように置き場所と置き方を決める「整頓」を徹底して行います。
IoTセンサーやカメラを設置する際には、工事の有無についても確認が必要です。
業務の標準化や品質の安定化につなげるためには、共通の仕組みやルールを作成する必要があります。
たとえば、どの基準なら正常値なのか、何をもって異常値とするのか、個人の経験や憶測ではなく、組織として統一されたマニュアル化を図り、その基準に沿った処理を行います。
また、設備機器の異常が起きた場合の報告や対処方法の周知も必ず行うようにしましょう。
運用が始まれば、日々の業務データを蓄積し、分析を行い、PDCAを回します。生産効率の向上が目的であれば、作業時間や不良品の発生数を分析し、製造工程や点検期間などの見直しを図ります。
効果検証の実施や改善策を繰り返すことで、より安定した稼働体制を実現することができるでしょう。
工場の見える化を行う際には注意すべきポイントが2つあります。
漠然とデータ数値をとっているだけでは、工場設備の異常、故障の検知や予兆、工場内の全体最適化にはつながりません。データの取得方法が適切かどうかの検証を繰り返し、確度を上げていく必要があります。
また、目的を達成できない原因にはさまざまなケースが想定されます。作業員の作業時間や作業内容をタブレットで管理するなど、日々の業務記録にも見える化を導入することで問題解決につながる場合があります。
見える化はあくまで手段であり、目的ではありません。しかし、実際に見える化を導入した企業のなかには、いつの間にか手段ではなくゴールになっているケースも散見されます。
収集したデータを資料などにまとめるだけでは、ただの「見せる化」に過ぎません。収集したデータを活用し、業務効率化や生産性向上といった具体的数字に表れてこそ、見える化の効果が実証されたといえます。
Blue Tiger Consulting(ブルータイガーコンサルティング)では、見える化に必要なデータの一元管理が行えるクラウドERP導入の支援を行っています。
提供するクラウドERPの種類によって、複数の業務自動化ツール(iPaaS)などの連携が可能なうえ、勤怠管理や給与計算を自動化できるものもあります。
見える化の導入をお考えなら、クラウドERPの導入や運用サポートが充実しているBlue Tiger Consulting へご相談ください。
工場の見える化は一朝一夕で効果が表れるものではありません。導入後はデータの取得方法を常に見直しながら自社に合った最適解を見つける必要があります。
また、見える化を行ううえでは、従業員全員が問題を共有し、解決のための行動につなげることが大切です。
見える化を無理な く運用するのであれば、専門家にサポートしてもらうことをおすすめします。